支援活用事例
砂型鋳造ラインの生産性向上
2025.04.04
事業者名:蒲田金属工業株式会社事業内容:製造業:アルミ鋳造(砂型・金型)所在地:安達郡大玉村大山字木ノ下51-5HP:https://www.kamakin.jp/
企業概要
戦後 | 後の創業者が福島県鏡石町にあった大手鋳造メーカーの疎開工場を買い取り、鋳造業を開始 |
1964年 9月 | 東京都大田区蒲田にて創業 |
1969年 5月 | 神奈川県横浜市日吉にて法人成り(株式会社化) |
1981年12月 | 福島県大玉村(現在地)にアルミ合金鋳造工場(グラビティ金型鋳造及び砂型鋳造)を建設し移転 |
2018年 8月 | 第二工場(グラビティ金型鋳造専用)稼働開始 |
2021年 9月 | 第三者事業承継により青山氏が代表取締役就任 |
2022年12月 | 株式会社小野製作所(いわき市:切削加工)の事業を承継(グループ会社化) |
2024年 3月 | 三秀製作所株式会社(いわき市:切削加工)の事業を承継(グループ会社化) |
当社は戦後、福島県鏡石町にあった大手鋳造メーカーの疎開工場を買い取り、鋳造業を開始したのが始まりで、その後の1981年に現在地の福島県大玉村にアルミ合金鋳造工場を建設し、移転しております。
アルミ鋳造に特化し、その専門性を活かすことで多くの受注を獲得し事業を拡大してきました。また、2018年には第二工場を稼働し、更なる事業の拡大を図ってきました。
しかし、多くの中小企業と同様に当社も後継者問題を抱えていたことから、
福島県事業引継ぎ支援センターを活用し、2021年に現社長の青山氏が第三者承継により代表取締役社長に就任しました。
その後、後継者問題を抱えていた切削加工事業者である「㈱小野製作所」を2022年に、「三秀製作所㈱」を2024年に事業承継し、切削加工を内製化(グループ会社化)することで、取引先の多様なニーズに応える体制の構築を図りました。
現在は、空調・空圧機器・航空灯器・建機等の部品を製造し、耐圧性が求められる分野において顧客から高い評価を得ております。


制度利用の目的や支援内容
当社は、小型製品(1個5~6kg)をメインに生産しており、大型製品の生産も若干行っていました。
そんな中、取引先から新規客向け大型製品(1個20~30kg)の製作のお話を頂きました。製作の難易度が比較的高く生産量もある程度多いため、対応出来る事業者が見つからなくお困りの様子でしたので、今後の事業展開を考え引き受けることにしました。
しかし、いざ生産を始めてみるとラインの生産性が低下していることが、直ぐに確認出来ました。生産数の増加と相まって、思いのほか大型製品の硬化に時間を要しリードタイムが延びたため、生産ラインの能力不足に陥りました。
また、大型製品が停滞することで小型製品も滞留し、小型製品の納期対応による残業が増加したため、従業員の負担軽減に向け、社内でも生産性を上げるべく出来る限り改善を試みました。
しかし、効果は限定的であったことから、福島県産業振興センターへ相談しました。
相談の結果、専門家派遣事業の利用を申請し、工場の現場改善・生産性向上に詳しい専門家の紹介を受け、派遣を依頼しました。
専門家からは、「生産サイクルが異なる大型製品と小型製品を混流生産していることが問題である」と最初に指摘があり、改善案として次の3点を提案されました。
①ボトルネック工程のラインの複線化
②複線化に伴う最適な生産体制の検討
③若手リーダーの責任者への登用
このライン複線化の改善案は社内からも発案されていましたが、工場内スペースの問題で実現出来なかったのですが、専門家の提案により既存のラインを活かしたままレイアウトを微調整することで、小スペースでの複線化を実現できました。
この改善により、小型製品の停滞は若干解決したのですが、効果は限定的でした。
その原因は、急に生産性が上がったため当該工程の作業者が不足していることにありました。
このため、当該工程の作業分析と適正人数の算定を行い、適正人数で作業したところ、製品がスムーズに流れることを確認出来ました。
また、専門家からは、改善に取り組んだ若手従業員の成長が著しいとの報告がありました。
特に、若手リーダーの仕事ぶりに高い評価を頂き、今後の幹部候補へ育成するためにも、工場の責任者として登用しては如何かと提案を受けました。
今回、専門家派遣事業を利用したことで、当該工程の生産性は46%向上しました。
また、直ぐに従業員を2名採用し、1名を当該工程へ配置し、もう1名を若手リーダーが担当している工程へ配置させ仕事の引継ぎを行いました。
専門家派遣事業について
公益財団法人福島県産業振興センターでは、経営の向上・改善を目指す県内中小・小規模事業者または創業をしようとする方に対し、課題解決を行うための支援を行っております。
相談は無料で対応しており、相談を受けた専門スタッフが必要に応じて訪問し、相談課題の整理と適切な助言をいたします。
より専門的な経営相談の場合は中小企業診断士などの専門家を派遣し、課題解決に向けた支援を行います。(専門家派遣は一部有料)
経営に関するお悩みをお持ちの皆さま、まずはお気軽にご相談ください。
企業の声(利用の感想)
毎日のオペレーションを繰り返しながら仕事をこなすことで手一杯となっており、きっかけがないと、時間をかけて取り組めないところがありました。そのため、今回の専門家派遣は、製造ラインを見つめ直す良いきっかけとなりました。
また、外部の視点で当社を見てもらうことで、新たな気づきを得ることが出来ました。
特に、ラインの適正作業者数についてはあまり意識できていなかった点であり、今後のオペレーションに非常に有意義な示唆をいただきました。
自社の競争力を高め、これからもお客様の期待に応えていくためにも、定期的に利用させて頂きたいと思います。
専門家派遣事業 問い合わせ先
経営支援部経営支援課
TEL:024-525-4039
FAX:024-525-4036
E-mail:sien@f-open.or.jp